今年の春から、我が家では息子夫婦とその子供たちとの同居が始まりました。
表札も2つになり、全部で7人家族になりました。
我々夫婦は1階に、息子家族は上の階に住んでいます。狭いながらも楽しい我が家です。
コロナウィルスの影響で、私は毎日の出社を自粛し、自宅1階で仕事をしています。
仕事をしている最中に、女房が時々「お茶がはいったよ」とか、「お昼どうするの?」と声をかけてきます。また、孫たちがバタバタと階段を降りてきて、「一緒にレゴやろ!」と言って、私の仕事を中断せざるを得ないようなことが起こります。
初めの頃はこうしたことを、「事務所で仕事していれば、こんな煩わしいことは起きないのになぁ・・・」などと少しイラっとしながら、否定的にとらえていました。
ところが、「これって、健康で元気な孫たちや家族に囲まれて、幸せな自分でいる証拠じゃないか・・・こんなことが毎日実感できるって、これはこれで悪くないかもなぁ・・・」などと思うようになりました。
これは、このコロナウィルス騒動で、自宅に籠らざるを得なくなったことが、私に従来とは異なる新しい見方を改めて気づかせてくれた、と思った瞬間でした。
この状態が、私が定年退職後、無我夢中になって続けてきた今の仕事と家庭との関係について、新鮮な気持ちで見直すキッカケを与えてくれたのです。こういったことは、わずか3週間ほど前には、まったく感じることもなかったことでした。
3週間前の私は、いろいろと忙しく時間を過ごすことに、結構満足していたような気がします。
クライアントさんと直にお目にかかる機会が極端に減り、スカスカになったスケジュール帳を眺めながら、この外出自粛の中で、私の気づいたことを少しお伝えしたいと思います。
それは・・・「何のために今の仕事をしているのか?」ということです。
定年を迎え、それまでの分野とはまったく違う分野で起業し、既に6年が過ぎました。ここにきて、私は「何のためにこの仕事を続けているのか?」と改めて考えるようになりました。
そして同時に、最初は外出自粛の状態で、半ば強制的に従わざるを得なかった一日中家族と一緒に過ごす時間について、その価値の大きさについても新たに気づくチャンスをもらったと思っています。
健全な精神や健康な身体は、家族が幸せに暮らしていくことを加速します。そしてこれらのことは、自分の『目的』を達成するための大切な『環境(手段)』になってくれていると、つくづく感じさせられます。
そしてこの環境としての『手段』は、私や私の家族で創り出すことができるというだけでなく、工夫次第で、いつでもより良い状態に維持することができるのです。
何ごとでもそうですが、『手段』と『目的』は違います。でも手段とは、その目的を達成させるために、とても重要な要素でもあります。それを上手に選んで大切に活かすことで、私は私の目的に向かって、今の仕事が幸せな状態で続けられていることを改めて実感しています。
こうした考えに基づいて、『自分の目的に向かって、充実感と共に、世の中のためになる(と私は信じている)仕事をしている』という信念を改めて大切にしていくと、今更ながら気づかされました。
ここで、先日、「働く目的」ということについて、ある方と話をした時のことを思い出しました。その時のことに簡単に触れることにします。
多くの方々の中には、「働く目的は、お金を稼ぐこと以外、何もない。それ以外はみんな綺麗ごとだよ。」という人もいます。確かに、一定レベルの生活を維持するためのお金は必要です。でもそれだけではないのです。
さらに、お金儲けだけが生きがいとなっている人もいます。そのために、家庭も顧みず、わき目も振らず、がむしゃらに働いていたりします。「お金さえあれば何とかなる」「お金があれば何でもできる」「もっともっとお金が欲しい」といってお金だけを追いかけている人もいます。
先日、お目にかかった方は、こういう考えの強い方でした。私はその方に、次のような質問をしました。
「例えばですよ・・・私があなたの墓石にノミで字を彫る石職人さんだとしましょう。あなたの死後、墓石に、生前、あなたからご依頼された言葉を彫りますよ、と言われたら、何て彫りますか?あなたが世間から『どう言われたいか』、ではなく、『あなたがどう言いたいか』という視点で考えてくださいね。そのときは、あなたは既にもうこの世にいないので、どんな言葉を残そうが、あなたにとってはどうってことはありませんよ。」
そして次の質問をします。
「そのとき、先ほどからおっしゃっておられるように『生涯をお金儲けに時間と労力を費やした人、ここに眠る』って彫りますか?」
と。すると苦笑いながら、
「う~ん、それはなんか違うような気がするよねぇ・・・」
との反応になります。
自分の墓石には、自分の人生をまっとうするために講じた「手段」ではなく、その「目的」または「志」をあらわす言葉を彫って残したい、と心の底で感じていることに気がつかれたのです。
それが、この方の生きるための本当の目的かもしれません。
このように他の何かに例えると、本音がツルっと簡単に出てくることがあります。この方法は、目先の手段を自分の目的と信じ込み、間違った方向に進もうとしている自分を発見することにもつながります。
この方は、その後も墓石を見るたびに、いろいろ自分のしていることや、「自分らしい生き方」とか「生きがい」といったことを、純粋な気持ちで考えるようになった、とのことでした。
今まで目的と思っていたことが、実は手段のひとつでしかなかったことに気がついた、とお話いただきました。
少しだけ視点をずらすだけで、今まで当たり前に見ていたことが、実は一方向からしか見ていなかった・・・なんてことに、気づかされることもあります。
あるいは、自分ではわかっていたと思っていたことが、他の新しい解釈があることを知ったり、まったく違う意味づけができる、ということを発見する、なんてこともあるでしょう。
今のコロナウィルス問題についても、
- 「一体、何のためにこんなことが起きたのだろうか?」
- 「この状態から、一体、我々に何を学べといっているのだろう?」
- 「今の状況は、我々に何を知っておけと言っているのだろう?」
- 「将来の人たちは、この出来事をどういう価値として後世に伝えるだろう?」
- 「これが、どんないい影響、学びを私たちに与えた、と伝えるだろう?」
などと、落ち着いた気持ちで現実をとらえ直して考えてみることは、決して無駄ではないと思います。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
- 「今までいろいろな心理学を学んだが実践できない!」
- 「潜在意識については知っているけど、使えない!」
- 「もっと自分らしく生きる世界がある筈だが、わからない」
- 「私はこんなもんじゃない筈だ!」
- 「もっと新しい自分に変えていきたい!」
- 「もっと自分を好きになりたい!」
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