近所のお蕎麦屋さんが閉店しました
私のオフィスの近くにとても美味しい日本蕎麦屋さんがありました。
お酒も色々取り揃えており、ざるそばと、エリンギの天婦羅を肴に飲む焼酎の蕎麦湯割りは本当に美味しかったです。よくお客さんを連れて利用させていただいていました。
そのお店がコロナウィルスの話題が世間を騒がし始めた今年の春(3月末)、突然でしたが早々にお店を閉めてしまいました。
廃業です。
まだ開店して1年ぐらいのお店でした。
とても繁盛していたお店だったので、とても残念な思いが残りました。
たまたまその後、そのお店のオーナーを知る方とお話をする機会がありました。
オーナーはIT業界で大成功した実業家の方とのことで、いわゆるIT長者でした。ご自身の資金運用のために日本蕎麦屋さんを運営していたのです。
資金運用の一環として店舗経営をしていたのですから、事業運営の一環として冷静かつ素早く廃業の判断ができたのでしょう。
今にして思えば、この撤退の速さは、そのオーナーに先を見る能力があったからだ、と言えばそれまでですが、事業的には的確で素晴らしい判断だったのだろう、とは思います。
お店で働いている現場の方々からは、美味しい料理とか食材の質に強いこだわりを感じさせる上質なサービスを提供していただき、とても感じのいいお店でした。
逆に、オーナーはお店でお目にかかったこともなく、来店者に対する思い入れはほとんどなかったように思います。
今まで来店していたお客さんに対して、せめて張り紙でもいいので、閉店の予告や何らかの挨拶はして欲しかったと思いました。
運用利回り目的の店舗経営で、自分の資金運用先としてこのお店を考えていただけだったようです。今後、予想より利回りが落ち込みそうになったのですぐに閉じた、ということだと聞きました。
ただ私には、こういったオーナーの姿勢に対して、「さすがに先見の明のある素晴らしい経営者の感覚だ」などとは、どうしても素直に評価する気持ちになれないところがあります。
仕事に対する「こだわり」について考えてみる
確かに、その後も無理してお店を開けていたら、家賃負担や従業員の経費ばかりがかさんで、3月末時点よりも財務状態は悪化していたでしょう。
理論的、金銭的な視点では、極めて合理的で正しい判断だったのでしょう。
一方で、もしこのオーナーが日本蕎麦の味や質、提供するサービスにこだわっていたら、こんなに早く即断即決はしなかったのではないかとも思います。
この突然のお蕎麦屋さん閉店の経験は、私にとって、仕事に対する「こだわり」について考えるよい機会を与えてくれました。
この出来事を通して、私がまだ30歳前後の若かりし頃、ある建設会社に勤めていた頃のことを思い出しました。
30代、会社員だった頃の体験
この会社は業界では老舗として名の通った歴史ある建設会社でした。
当時は、まさに世の中がバブル時代に入ろうとしていたさなかで、社内にはフランスの某社と事業提携しようという話題が持ち上がっていました。
当時、世の中には不動産開発を中心とした様々な開発案件が山のようにあり、この会社も建設会社の枠を超えて新規事業につながる事業展開を模索していました。
その新規事業の基本にある考え方は、「今後の日本社会にも、フランスのように長期のバカンスを楽しむ文化が必要だ」というものでした。
まさにバブル思考そのものですが、当時は誰もおかしいなどとは思いませんでした。まさにバブルの入口にいた証拠だったと思います。
そして長期の休暇を快適に過ごせるマリーナ(ヨットハーバー)を備えたリゾート施設の開発が必要だということになり、フランスから来日した企画担当者を、伊豆方面にあるいくつかの代表的なマリーナに案内しました。
彼は、私のいる建設会社が100年近くも続いている老舗企業だと知って驚いたようでした。
さらにその長い歴史の中では、経営状態がいい時もあれば悪い時もあり、それでも何とか乗り越えてきた歴史がある、という話題になりました。彼はそれを聞いて次のような質問をしてきました。
「経営状態が悪化して儲かっていない時に、なぜ建設事業を続けようとしたのか?株主や利害関係者のみんなに迷惑をかけた筈だ。その状態で同じ事業を続けることに何の価値があったのか?」
と言うのです。
フランスにも長い歴史を誇る企業があるので、この質問には驚いたことを思い出します。彼はあくまで理論的、合理的に考えて素直に質問したのでしょう。
「絶対に会社をつぶさず、みんなで頑張り抜くんだ!」
とか、
「経営者も社員も、全社一丸となってこの苦難を乗り切ろう!」
といった熱意や愛社精神については、触れてもわからないだろうと思い、この話題はそれっきりになりました。
(当時、私はこうした話題をうまく説明できるほどの語学レベルでなかったことが一因だったように思います。)
先ほどのお蕎麦屋さんのオーナーに、私はある意味、このフランス人と同じ文化を感じます。
「仕事って、自分の資金運用のためだけじゃないだろ!」
という感覚が、どうしても私にはあります。
一部の投資家が言っているように、自己の利益を追求し続けることがビジネスであって、利他の精神とか、社会への貢献とかはビジネスには関係ない、という考え方も世の中にあるのは確かです。
私のこだわっているような発想は、非合理的だとか、浪花節だ、仕事への思い入れが強いだけだ、専門バカが考えることだ、お金に余裕ができたらやればいい、と言う人もいると思います。
でも、ビジネスに対する姿勢として、お金の計算だけではどうも簡単に割り切ることができないところがあるのです。
なにごとも、その「質」の向上にこだわってさえいればいいというものでもありませんが、最後まで残るのは「質」の部分だと思っています。
その「質」を磨き続け、より良いものにしていくのは、そこに素直な気持ちで情熱や愛情を注ぐ「人」の存在があってこそだと思います。
人間同士が協力していく以上、お金だけでは割り切れないものがあって当然だと思います。
世の中には、何ごとにもスピードを要求して互いに競う文化がありますが、スピードばかりに気を取られてその方向性を見失ってしまうと、意味のない競争に入り込んでいくだけだと思います。
「そう言えば、これって何のために私はしているんだっけ?」
と立ち止まって考えることも必要だと感じます。
今回よく知るお蕎麦屋さんが閉店した出来事が、忘れてしまっていた何十年も前のエピソードを思い出させてくれました。
そして、自分の中にある仕事への「こだわり」とか、大切にしている価値観、私の目指している方向、といったことについて、改めて考えるよい機会をもらったように思います。
なお最後に・・・これはどうでもいいことですが、一緒にマリーナ見学したフランス人は英語が話せました。私は、今でもフランス語は「メルシーボク―」しか知りません。
- 「今までいろいろな心理学を学んだが実践できない!」
- 「潜在意識については知っているけど、使えない!」
- 「もっと自分らしく生きる世界がある筈だが、わからない」
- 「私はこんなもんじゃない筈だ!」
- 「もっと新しい自分に変えていきたい!」
- 「もっと自分を好きになりたい!」
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