往来庵の菊地克仁です。
何気ない言葉の裏側にある「前提」を感じさせるような経験をしました。
先日、昔、同じ職場にいた先輩にお目にかかりました。
彼は今ではすっかり現役を退き、年金生活の毎日です。
私が今でも基本的には毎朝オフィスに来て、仕事をして、資料を作ったりクライアントさんとの個人セッションで帰りが遅くなることもある、という話になりました。
それを聞いた彼は、
「よく頑張ってますねぇ・・・」と一言漏らし、「菊地さんって、本当に努力家だよね」と言ってきました。
その言葉を聞いたとき、私は正直「ん?」と首を傾げたくなりましたが、彼は賞賛の意味で言ってくれたので、「そんな風に言っていただいて、どうもありがとうございます。」と答えました。
その後の彼との会話を通してわかったことがあります。
それは、彼にとっての仕事とは、
「苦痛感を伴うもので、できればしたくないこと」
「義務感をもって成し遂げなければならない不快なこと」
「イヤイヤ仕方なくやらされること」
という『前提』が、深いところに隠れていたことに気がつきました。
だから定年退職後に独立してまで仕事を続けている私を見て、「敢えて、何でまた好き好んで仕事してるの?」といった具合で、信じられないことだったかもしれません。
「この仕事は多くの方々にお会いするし、楽しいことも結構あるんですよ」と言う私の言葉に対して、「でもそれ以上のご苦労があるんでしょ?朝晩の通勤も大変だと思うなぁ」と言ってきました。
これは彼が今でも守ろうとしている「前提」を示す言葉でした。
それは「仕事には苦労がつきもの。仕事=苦労+不快」ということです。
これが現役時代を通して彼が学んできたことだったのでしょう。
仕事とは、苦痛を我慢して成し遂げなければならないもの、自分の不得手なことを無理やりやらされること、常に追い込まれて無理な結果を要求されるもの、という位置づけだったようです。
ただ、こうした考え方を持ち続けていると、自身の能力を活かして楽しく仕事をしている人を目の当たりにすると、不快感を持ったり、無性に相手に腹を立ててしまうことなどもあるようです。
なぜならそれは、
自身の培ってきた信念が覆えされること
でもあるからです。
反対に、苦労して、努力している人こそが立派な人、といった価値観を大切にしていることなどもあるかもしれません。
苦労とか努力とは、その先にある結果に到達するまでの手段のひとつでしかないものです。手段でしかないとすれば、苦労とか努力とかを感じない「別のやり方」が他にあるかもしれません。
こうした考え方に対して、「ラクな生き方をして、上手くいった奴などいない」と言う人もいます。ここで大切なことは、
「その時の状態をどうとらえるか?」
ということだと思っています。要は「その状況のとらえ方、解釈の仕方」といったところでしょう。
「楽」という漢字は、「楽をする」とか「楽しい」という風に使います。
楽しく仕事をしている人は、他からは確かに楽をしているようにも見えるかもしれません。ですが、そのことに何か問題があるのでしょうか?
一方で、
「楽をして結果を出す?何言ってるんだ!それが簡単にできないから、みんな苦労して、努力して頑張っているんじゃないか!」
と言う方もいます。
こういった方は、やがて「仕事には苦労がつきもの」「仕事は辛いもの」という信念通りの生き方を始めるでしょう。
つまり、自身の生き方を使ってこの「信念」を証明しようとするのです。苦労の先には苦労しかない「苦労の連続」という生き方です。
このように、自身の信念を、自分の人生を使って証明しようとするのであれば、
「楽しくやって効果を上げる方法がある!」
という信念を証明する方が、よっぽど豊かで自分らしい生き方だと私は思います。何かに集中している状態かもしれません。
その無我夢中になって没頭している姿を見た第三者は、「努力している」とか、「頑張っている」と賞賛の声をかけてくれるかもしれませんが、本人はただ「楽しんでいる」と感じている状態なのです。
「思考は現実化する」とは、ナポレオン・ヒルの有名な言葉ですが、私は誰でも「自分の信念を証明するために生きている」と言っても過言ではないと思っています。
心の中に秘めた信念が、本当にあなたの人生の中で将来現実化するとしたら、そして、どちらでも自由に選べるとしたら、あなたは今の信念を守り続けたいと思いますか?それとも少し修正して、もっと楽しいことにしてみようかと思いますか?
- 「今までいろいろな心理学を学んだが実践できない!」
- 「潜在意識については知っているけど、使えない!」
- 「もっと自分らしく生きる世界がある筈だが、わからない」
- 「私はこんなもんじゃない筈だ!」
- 「もっと新しい自分に変えていきたい!」
- 「もっと自分を好きになりたい!」
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