生き方

「偏差値が高いので医学部受けます」という選択

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往来庵の菊地克仁です。いつも私のメルマガをお読みいただき、どうもありがとうございます。

私の予備校時代の知り合いの話です。もう何十年も前の話です。彼は同じ理系だったので、時々話をする機会がありました。私は他の人たちと同様に、彼の成績がずば抜けていいことを知っていました。模擬テストでも偏差値が大抵70台なのです。まさにトップクラスです。

私はあるとき彼に「どこ受けるの?」と聞いたことを思い出します。彼は

「うん、医学部受けようと思って・・・」

と返してきました。私は「そうか、医者になりたいのかぁ」と言ったら、彼から思いもよらない言葉が返ってきました。だから私は、この会話を今でもよく覚えているのです。

彼は、

「いや、医者になりたいわけじゃないさ」

と答えたのです。そして、

「だけど、今の高い偏差値を活かすには、現行では医学部しかないだろ。滑り止めは、建築学科を受けようと思っているよ。」

というものでした。当時、建築学科も偏差値が高かったのです(スミマセン、今は知りません)。

当時の私は、頭のいい奴って言うのは、自分の「興味」や「やりたいこと」「好きなこと」なんてことに振り回されずに、キチンとデータに基づいて冷静に人生設計をするんだなぁ・・・と敬服し、同世代でありながら、尊敬に近い眼差しで彼を見ていたことを思い出します。

今だったら、

「オマエは、お勉強できるだけのバカじゃないのか!」

と言うと思いますが、当時はそういった彼の姿勢が、冷静で素晴らしいと感じていました。

彼は「偏差値」という外部からの評価を最も重視して、自分の人生を決めていたのです。その後の彼の人生については、私は何も知りません。そのまま有名大学の医学部に無事受かったとしても、それぞれの道では様々な苦難や悩みがあると思います。

例えば、「どうしても医者になりたくて来たヤツ」と、彼のように「成績がいいから来たヤツ」では、自ずと学内での成績にも差も出てくることでしょう。

彼には「医者になりたい!」というモチベーションがマッタクなかったのですから、専門性を追求することへのエネルギーを生む見続けることができたのか、はなはだ疑問です。彼の頭の中は、「高い偏差値を活かすには医学部しかないから」だけだったのです。

様々な情報が入り乱れてくると、こんな外部の情報を頼りに自分の人生を決める人が、今は以前より余程増えているかもしれない、などと感じてしまいます。

また彼は、「自分の好きなコトとか興味のあることは、何もない」と言っていたことも印象的でした。ただ頭が良かったのです。もしかすると、生まれ育つ中で、自分の中に湧き上がるモチベーションに、素直に向き合うような環境には、いなかったのかもしれません。

◆あなたは、3年前の今日、何が起こったか覚えておられますか?今日は、アフガニスタンで銃撃され、命を落とされた中村哲医師の命日です。

こういった素晴らしい医師もいる中で、本文で取り上げたような医師もいるのが現実だと思います。人は誰でも成長するので、先ほどの彼も、中村医師のような考え方や志をもって、医療に励んでくれていれば素晴らしいと思います。

 

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