生き方

「顧客満足度」の落とし穴

往来庵の菊地克仁です。

いつもブログをお読みいただき、どうもありがとうごさいます。

さて、今回は顧客満足度の結果が生む【危険なワナ】について触れたいと思います。

私がまだ若かりし頃、キャリアカウンセラーの勉強をしているときの先生から、以下の様な興味深い逸話がありました。

キャリアカウンセラーのところに相談に見えたクライアントさんの出したアンケート結果からわかる話です。

以下が、二人のクライアントさんから出された

アンケート結果です。

Aさん

とても素晴らしいカウンセラーの先生にお会いでき、本当に嬉しく思います。私がいろいろ迷っていたことについて、本当にいつも鮮やかに的確な解決策を教えて下さり、その通りやっていったら今の私になりました。昔の悩みがウソのようです。さすがプロですね。「困ったらまたいらっしゃい」と優しく声をけけてくれた先生に心から感謝です。

Bさん

プロのカウンセラーだというので期待して相談したのですが、私の話を聞くだけで、ほとんど何も教えてくれませんでした。結局自分で見つけた解決策を行動に移すことで、今の自分になりました。プロなんだからもう少し教えてくれてもいいと思いました。私は精神的に自立できたので、もう困ってもカウンセラーのところに行くことはないと思います。

顧客満足度という視点で見れば、Aさんの方がはるかに高いようです。Bさんは明らかにカウンセラーの対応に満足していません。

これが顧客満足度の結果です。

では、本人がどう満足しているかではなく、

結果として本人がどうなったか

を比較してみましょう。

Aさんは、困ったらまたこのカウンセラーを訪ねてくることでしょう。これはカウンセラー側のビジネスモデルとしては非常に優れたものです。

Aさんは、このカウンセラーにとって、いつまでもリピートしてくれる優良なお客様になることでしょう。カウンセリング中に、クライアントさんに「依存心」が植え付けられてしまった結果です。

Bさんは、カウンセリング中に自立して行動に移すことができたので、将来何か困ることが起こったとしても、自力で解決していこうとするでしょう。

本人を自立させることが、カウンセリングの目的であれば、

Bさんを導いたキャリアカウンセラーが、プロとして素晴らしい結果を残したと言えそうです。

そもそもカウンセラーはプロフェッショナルで、クライアントさんは素人です。

根本的に立場の違う二者の片方だけの満足度を単純に比べても、全然意味のないことがよくわかる事例だと思います。

私はこの時以来、「プロ意識」ということについて、いつも考えるようになりました。

クライアントさんへの接し方はとても大切なことですが、クライアントさんにとって最も価値のあるところに導いていくことができなければ、プロとしての価値はないと思っています。

残念ながら、クライアントさんの依存心を巧みに利用して、Aさんのような人を育成し、自身の事業を安定させることに長けたプロがいることも事実です。

私は、クライアントさんを【本来の解決】に導くことが、プロの提供する仕事だと思っています。上記の例でいえばクライアントさんを「自立」させることでしょう。

本当にクライアントさんのことを第一に考え、内容を明確にわかりやすくお伝えして新たな行動を促し、フェアな立場で導いていくことがプロの立ち位置だと考えます。

今回も最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

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